コレステロールは低いと「がん」の危険性が高まる?

多くの高齢者を診てきた経験豊かな医師たちは、「高齢者の場合、基準値を少し上回るぐらいの方が、元気な人が多い」との実感を持っている人が多いといいます。以前、東海大が6年間、60歳代を中心とした約3万人を対象に、総コレステロール値と死亡率の関係を調べました。その結果、最も死亡率が低いのは、総コレステロール値220〜239の場合だったそうです。

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コレステロール値は高すぎても低すぎても良くない


コレステロール低下剤の無策な継続使用はがんを誘発する?


現在の診断基準では、「高コレステロール血症」にあたる数値が、「最も長生きが期待できる数値」との研究結果だったのです。こうしたデータが日本に7件、韓国や欧米なども含めると世界に10件以上あるといわれています。


コレステロール値が、異常に高いと心筋梗塞などになりやすいというのが定説ですが、日本では1970年代以降、コレステロール値は上がったのに、心筋梗塞による死亡は減りました。したがって喫煙や糖尿病、高血圧などの危険因子がない限り、多少のコレステロールの高値は心配する必要はないといえそうです。


むしろ、注意しなければならない事実として、今「低コレステロールとがん」の関係が注目されています。茨城県が、住民健診の受診者約9万6000人(40〜79歳)を5年間、コレステロールとがんの因果関係を追跡した調査があります。その調査によると、がんによる死亡は、「コレステロール値160mg未満で最も多く、240mg以上で最も少なかった。」という驚くべき結果でした。


また、別の調査でコレステロール値が220mg以上で、がんではない約5万人を対象に、コレステロール低下剤を、約5年間投与したケースでは、コレステロール値が低くなればなるほど死亡が増えたといいます。180mg未満に下がった人は、240mg以上280mg未満の人に比べ、総死亡率が2・5倍、がん死亡は3倍以上だったといいます。また、別の調査では160mg未満と260mg以上では同様に総死亡率が高かったともいいますので、やはり高すぎるは良くないようです。


コレステロールは、細胞膜など生体膜の大切な構成成分なので、総死亡率が上昇しているのは、コレステロール値が低いと、がんもさることながら、感染症にもかかりやすくなっているとも判断できます。


コレステロールは、体内のステロイドホルモンの原料でもあるので、コレステロール値が低いと免疫力が落ちて、ストレスにも弱くなり、がんや感染症が増えるのは当然なのかもしれません。


コレステロールは、肝臓で合成されるので「肝臓がん」の原因では?ともいわれています。しかし、もともと肝炎ウイルスによる慢性肝炎などの肝臓病のある人は、コレステロールが肝臓の中で十分、合成できなかったとも考えられます。「鶏が先か卵が先か」の議論になってしまいますが、さらなる研究を期待したいところです。


低コレステロールと死因との因果関係については、「コレステロールが低いから死亡率が上がる」、「死んだ人が高齢者で、もともとコレステロール値が低かった」という議論は絶えないところですが、要は高すぎても低すぎても良くないことは紛れもない事実だと思います。


前述の東海大は、調査後さらに、全国約70万人のデータを分析し、性別・年齢別に新しいコレステロールの基準値を提案しています。それによると、積極的に治療を必要とするのは、20歳代では総コレステロール値220程度以上の場合で、現行の基準に近いのですが、高齢者の場合、男性は260程度、女性で280程度という提案内容だそうです。


【参考記事】
コレステロールは少し高めの方が良い?
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2006年12月27日 18:39