「高脂血症薬で心臓病が33%減少」報告に課題

昨年(2005年11月)、ご案内した報道「高脂血症薬に心臓病防ぐ効果あり、8千人の臨床試験」に関して、ここに来て「治療効率に課題も」という別な報道があったので、私見を交えて紹介させていただきます。

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100人中0.7人しか「恩恵」を受けられない?


日本人や女性は、もともと心臓病が少ない?


当時の報道をまとめると、「コレステロール値を下げる高脂血症薬を使うと、日本人で(欧米人での研究は多数有)心臓病の発生を減らす効果があることが、約8000人の高脂血症患者(平均年齢58歳・女性68%)が参加した、5年以上の臨床試験で分かった。全員に食事療法をしたうえで、半分の人にはコレステロールを下げる薬を飲んでもらい比較したところ、薬を併用したグループが心臓病の発症が33%少なかった」というニュースでした。大規模な統計学的に、良い結果が出たのは、今後メタボリックシンドロームの解析を進める上で、大変有意義な研究だと、今でも思っています。






「恩恵」を受けられる人は、思ったより少ない?


しかし、報道のあった「グラフ」を見てみると意外なことがわかります。実験を続けて5年目をなぞっていくと「食事療法だけ」の患者さんの心臓病発症率は約2.3%、「薬も併用」の患者さんは約1.6%になっています。つまり100人あたりに換算すると、「食事療法だけ」の患者さんでは2.3人が心臓病を発症、「薬も併用」の患者さんは1.6人が発症、その差は0.7人ということになります。5年間も、薬を続けて100人の患者さんの中で、0.7人しか恩恵が受けられないということになります。これを少ないとみるか、多いとみるか・・・






援護できる要因として・・・


まず、もともと日本人は欧米人に比べると心臓病が少ないことがあげられます。(米国では100人中2.5人は恩恵を受けられるといわれています)そして、今回の実験では、女性が68%と多かったのですが、もともと女性は男性に比べると心臓病が少ないといわれています。(参考記事:「女性の動脈硬化は50歳からが危ない」)






ちょっと課題かなと思うこと・・・


今回の実験では、「食事療法単独」と「薬併用」の2グループだけで行われましたが、欧米ではもうひとつ、偽薬(プラセボ)を使うグループが設定されるのが、一般的なので厳密性には少し欠ける可能性があること。あと、今回の実験に参加したのは、1,500の医療機関と3,000人の医師といわれていて、食事療法の均一性を考えると、少し多すぎる感のあること。そして、この実験は使用された医薬品「メバロチン(成分名プラバスタチン)を発売しているメーカーがお金を出していること。(税金は使えないので、医療界では常識です)


しかしながら、日本人対象で、これだけ大規模な統計学的結果を、数字は劇的ではなかったにせよ、出せたことに関しては、大変意味のある実験であったと、賞賛に値すべきだと思います。

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2006年03月21日 17:48